2006/09/30

ザクロに前立腺がん抑制成分、名古屋市立大が研究発表【読売新聞 9/28】

 果物のザクロに、前立腺がんの細胞を死滅させる成分が含まれていることが、名古屋市立大の朝元誠人・助教授らの研究で分かった。


 横浜市で開催中の日本癌(がん)学会で28日発表した。

 朝元助教授らは、人間の初期の前立腺がん細胞を培養し、濃度5%のザクロ果汁の溶液に入れて影響を調べた。すると、わずか30分で激しい反応を起こし、がん細胞が死滅した。前立腺がんにこれほど強く作用する天然物質は例がないという。他のがん細胞には効果がなかった。

 また、前立腺がんのラットに、5%濃度のザクロジュースを飲ませたところ、がん縮小効果がみられた。ザクロの何の成分が効いているかは不明。

 朝元助教授は「普通の食品に、こんな作用があるのは珍しい。成分が分かれば、前立腺がんの予防や治療への応用が期待できる」と話している。

(2006年9月28日22時19分 読売新聞)

2006/09/16

メタボリック症候群、胃がんのリスクも高まる…東大【読売新聞 9/16】

 内臓の周りに脂肪がたまる内臓脂肪症候群(メタボリック・シンドローム)に陥ると、動脈硬化や糖尿病だけでなく、胃がんのリスクも高まることが、東大腫瘍(しゅよう)外科の北山丈二講師らの研究でわかった。


 肥満解消が、がんの予防や再発防止にもつながる可能性を示す成果と言えそう。今月下旬に横浜市で開かれる日本癌(がん)学会で報告する。

 北山講師らの研究チームは、脂肪細胞から分泌される「アディポネクチン」というホルモンに着目した。脂肪の燃焼を助ける働きなどをするが、内臓脂肪症候群になると、分泌量が減り、血液中の濃度が下がる。

 チームが突き止めたのは、アディポネクチンに強力な抗がん作用があること。ヒトの胃がん細胞を移植したマウスにこのホルモンを投与すると、腫瘍が最大で9割も減少した。

 さらに、胃がん患者75人の血液中のアディポネクチン濃度を調べたところ、がんの進行した患者ほど濃度が低かった。このホルモンは、胃がん細胞と結合しやすい構造をしており、結合したがん細胞を殺す働きがあるとみられる。抗がん作用は、血液1ミリ・リットルあたりの量が0・03ミリ・グラムを超えると強まる。内臓脂肪症候群の人の濃度は、その5分の1〜6分の1という。がん増加原因として、脂肪の過剰摂取が挙げられるが、がんを引き起こす仕組みは十分に解明されていない。

 内臓脂肪症候群に詳しい松沢佑次・住友病院(大阪市)院長「乳がんや子宮がんと内臓脂肪の関連も最近指摘されている。一層の研究を進める必要がある」

(2006年9月16日16時34分 読売新聞)

2006/09/15

メラニン:輸送妨げる酵素発見 美白肌、白髪防止に朗報か【毎日新聞 9/15】

 皮膚や髪を作る細胞にメラニン色素が輸送されるのを妨げる酵素を、理化学研究所と東北大の共同研究グループが見つけた。メラニン色素は紫外線で遺伝子が傷つくのを防ぐが、しみやそばかすの原因にもなる。輸送を妨害して肌の美白を保ったり、促進して白髪を減らす方法の開発に役立ちそうだ。米国の生化学専門誌(電子版)に、論文が掲載される。

 メラニン色素は、皮膚に紫外線が当たると表皮の内側の細胞で合成され、膜に包まれた袋に蓄積される。この袋が、皮膚や髪を作る別の細胞に輸送されると肌や髪が黒くなる。

 研究グループの福田光則・東北大教授らは2年前、「Rab27A」と呼ばれるたんぱく質が輸送に不可欠なことを解明した。「Rab27A」は、働いて輸送を促す場合と働きを失う場合を繰り返し、輸送を正常に保っていると考えられたが、仕組みは分からなかった。

 グループは今回、たんぱく質の働きを失わせる可能性があると考えられた酵素40種類を、マウスの培養細胞に1種類ずつ加えて実験した。

 すると、ある一つの酵素を加えた場合には、メラニン入りの袋が細胞の中心部から広がらなくなった。袋は通常、中心付近で作られて周辺に輸送されるが、酵素が輸送を妨げたとみられる。グループは酵素を「Rab27A−GAP」と名付けた。

 福田教授は「今回の酵素は、人間でもメラニンの輸送を妨げるとみられる。輸送を促進する酵素も見つけたい」と話している。【下桐実雅子】

毎日新聞 2006年9月14日 20時52分

2006/09/13

毎日5杯、緑茶で長寿…脳こうそく死亡率が大幅低下【読売新聞 9/13】

 緑茶を1日5杯以上飲む人は脳こうそくなど循環器疾患による死亡率が顕著に低く、長寿の傾向があることが栗山進一・東北大助教授らの調査でわかった。


 ただ、がん死亡を防ぐ緑茶の効果は確認されなかった。米医師会雑誌に13日、発表した。

 研究チームは1994年に40〜79歳だった宮城県内の4万530人(男性1万9060人、女性2万1470人)を、1995年から11年間にわたって追跡調査。1日に飲むお茶の量によって四つのグループに分け、死因などを分析した。

 1日にお茶を5杯以上飲むグループの死亡率は、最も飲まない1杯未満のグループに比べ、男性で12%、女性で23%低かった。特に、動脈硬化が原因となる脳こうそくでは、お茶を多く飲むと男性で42%、女性で62%も死亡率が低下した。研究チームは、男女の死亡率の差は、喫煙によるものと考えられるとしている。

 栗山助教授は「緑茶を飲む量とがんの死亡率には関連が無かったが、緑茶を飲むと長生きの傾向があるとは言えそうだ」と話している。

(2006年9月13日12時44分 読売新聞)

2006/09/05

高血圧・胃潰瘍・リウマチ…温泉の効果、科学的に立証【読売新聞 9/5】

 酸性の温泉水が高血圧や胃潰瘍(かいよう)、関節リウマチなどに効くメカニズムを、名古屋市立大医学研究科の岡嶋研二教授、原田直明助手らがマウスによる実験で突き止めた。


 温泉の効能は経験的に言い伝えられているが、その科学的なメカニズムはわかっていなかった。

 秋田市で開かれる日本温泉科学会で6日発表する。

 岡嶋教授らは、脊髄(せきずい)から皮膚に延びる知覚神経細胞をマウスから取り出して培養。これに薄めた酸性の温泉水をかけて刺激すると、神経末端からたんぱく質の一種(CGRP)が放出された。

 CGRPは血圧降下のほか、炎症抑制、傷の治癒促進などの作用がある「インスリン様成長因子(IGF)—1」というたんぱく質を増やす。そこで実際に、マウスを酸性の温泉水(40度)に5分間つけ、皮膚や血中、胃組織のIGF—1濃度を測定した。

 その結果、何もしない状態に比べ、温泉水では8〜3倍増えていた。さらに、ストレスをかけて胃潰瘍にしたマウスを温泉水につけると、潰瘍の長さが3分の1以下になった。岡嶋教授は「温泉水の熱と酸性刺激が脳に伝わって副交感神経を刺激、体内のIGF—1が増えて、自己治癒力を高めるらしい」と話している。

(2006年9月5日3時0分 読売新聞)

ピロリ菌の感染経験者、胃がんリスク5—10倍に【読売新聞 9/4】

 ピロリ菌に感染したことがある人は、そうでない人よりも胃がんの発症リスクが約5〜10倍高いことが、厚生労働省研究班(研究責任者=津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)の大規模調査で明らかになった。


 ピロリ菌が胃がんの原因になることはすでに分かっているが、感染によってどの程度リスクが上がるかは、分かっていなかった。29日、横浜市で開かれる日本癌(がん)学会で発表する。

 研究班は、40〜69歳の男女約4万人から血液を提供してもらい、ピロリ菌の感染の有無と、その後15年間の胃がん発生との関連を分析した。

 その結果、期間中に512人が胃がんを発症し、うちピロリ菌感染者は94%だった。一方、胃がんにならなかったグループでは75%で、感染者の胃がんリスクは非感染者に比べて5・1倍高かった。

 ただ、胃がんの前段階である委縮性胃炎まで進行すると、ピロリ菌もすめなくなる。こうした潜在的な感染者も含めると、感染者の胃がんリスクは10・2倍に相当するという。

 今回の分析を担当した笹月静・同センター予防研究部室長は「ピロリ菌の除菌という予防法も広まっているが、胃がんが予防できるという確実な証拠はまだないので、現段階では生活習慣の改善や検診を勧めたい」と話している。

(2006年9月4日21時11分 読売新聞)

ピロリ菌:感染で胃がんのリスク5〜10倍に【毎日新聞 9/5】

 細菌の一種の「ヘリコバクター・ピロリ」に感染すると胃がんになる率が5〜10倍高まることが、厚生労働省研究班(担当研究者=笹月静・国立がんセンターがん予防・検診研究センター室長)の大規模追跡調査で分かった。しかし、除菌しても胃がんを防げるかどうかは不明といい、研究班は「予防には、禁煙や食事の減塩、胃がん検診の受診を勧める」としている。
 研究班は1990年と93年に、全国の40〜69歳の男女計約3万7000人を採血。ピロリ菌への感染の有無や、体内の菌の毒素の有無を調べた。04年までに計512人が胃がんになった。
 採血時にピロリ菌感染が確認された人は、確認されなかった人に比べ、5.1倍の率で胃がんになっていた。
 さらに、採血時に感染はなかったが、過去の感染の影響とみられる菌の毒素が確認された人も含めると、感染か毒素があった人はどちらもなかった人の10.2倍の率で胃がんになっていた。
 菌の影響で胃粘膜が炎症を起こして萎縮(いしゅく)し、がんになりやすくなるらしい。ただ、感染歴がある人は調査対象の約94%と推計され、胃がんになるのはその一部という。【高木昭午】
毎日新聞 2006年9月4日 20時29分 (最終更新時間 9月5日 0時49分)

This page is powered by Blogger. Isn't yours?

登録 投稿 [Atom]