2005/06/28

生活習慣病「運動で予防」 厚労省が実用的指針作成へ【朝日新聞 6/27】

 糖尿病や脳卒中などの生活習慣病を予防するには、どんな運動をどれだけすればいいの? こんな疑問に答えようと、厚生労働省が国民向けの運動量などの指針づくりを始める。来月にも検討会を立ち上げ、今年度内を目標にまとめる。こうした指針は過去にもつくったが、効果があまり上がっていなかった。生活習慣病の予備軍が増えていることから、最新の研究に基づいて作り直すことにした。

 厚生省(当時)は89年、年齢や健康状態に応じた「運動所要量」を作成した。例えば、20歳代なら1週間の合計運動時間は180分、運動時の心拍数(1分間あたり、安静時を70とする)は130の状態を維持するのがよいとされている。60歳代ならそれぞれ140分、110などと定めていたが、ほとんど知られていなかった。

 また93年には「運動指針」も作ったが、「歩くことから始めよう」「1日30分を目標に」などの言葉が並び、実用性が低いと指摘されていた。

 このため、新たな指針では、階段の上り下り、自転車に乗るなど、ふだんの生活でできる運動や運動によるカロリー消費量を示すことなどを検討している。年齢や性別によってどれだけ効果に違いがあるかも示す方針だ。検討会で、有識者の意見も聞きながら最新の研究成果などをもとに、わかりやすく使いやすい指針作りを目指す。

 厚労省によると、20〜60代の男性の肥満者は97年の24.3%から03年には29.5%に増えるなど、「生活習慣病を発症するリスクは年々高まっている」(生活習慣病対策室)という。

 一方、運動による生活習慣病の予防効果を指摘する声が近年強まっている。糖尿病を発症するリスクが高い人を対象にした海外での研究例によると、薬による治療では4年間で発症を31%抑えられたのに対し、運動や食事などの生活習慣の改善指導のほうが効果が高く、発症を58%抑えられたという。

ピロリ菌、2つの毒素で胃の細胞操る【朝日新聞 6/27】

 胃がんや胃潰瘍(かいよう)の原因となるピロリ菌は、胃の細胞にあるたんぱく質を2つの毒素で操り、細胞の増殖を促進させたり抑えたりしているらしいことを、畠山昌則・北海道大教授(分子腫瘍(しゅよう)学)らが見つけた。胃の細胞が増えすぎる胃がんと、逆に細胞が大量に死ぬ胃潰瘍という正反対の性格の病気を、1種類の細菌が起こす仕組みの解明につながる成果だ。先週、米科学アカデミー紀要(電子版)で発表した。

 畠山教授らは、ピロリ菌の出す2つの毒素の作用を人の胃の細胞で調べた。片方の毒素は、細胞にある「NFAT」というたんぱく質の働きを高め、もう一方の毒素は抑えることがわかった。

 NFATは細胞増殖にかかわる数十の遺伝子を調節している。畠山教授は「どちらの毒素が多いかで、NFATが働きすぎて細胞をがん化したり、NFATが働かなくなって潰瘍を生じさせたりするのではないか」と話している。

酒の香りにリラックス効果 脳からアルファ波、快適感【朝日新聞 6/27】

 ビールや日本酒などの香りが人をリラックスさせる効果があることが、サッポロビールの実験で明らかになった。香りの強いお酒をかぐと脳からアルファ波が出て快適感が高まることがデータで裏付けられたという。「飲んべえ」に好都合のデータだが、「飲み過ぎにはくれぐれもご注意を」と同社。

 大学生や同社従業員ら33人に、一般的なビールの香りの主成分であるエステル類の濃度が違う2種類の市販品を2分間、目をつぶってにおいをかいでもらった。その間の脳波の周波数の平均から「快適度」を算出した。

 エステル濃度が2倍高い「香り」の方が、落ち着いた気分の際に出るアルファ波が安定して検出され、快適度も1.2倍高かったという。

 一方、「麦芽を焙煎(ばいせん)する黒ビールでは高揚度が高まる傾向もみられるようだ」と同社価値創造フロンティア研究所の金田弘挙・主任研究員。

 同社では今後、エステル類の濃度を変化させ、リラックスするビールや反対に精神を高揚させやすいビールなど、さまざまな新製品開発につなげたいとしている。

2005/06/23

縄文人はグルメ?琵琶湖東岸の遺跡でマグロの骨発見【読売新聞 6/22】

 滋賀県米原市の琵琶湖東岸にある入江内湖遺跡で、縄文人が食べたとみられるマグロの骨が見つかったと、同県教委が23日、発表した。

 マグロの骨が西日本の内陸部で出土するのは珍しく、琵琶湖でとれる淡水魚のほかに海の幸も食料としていた縄文人のグルメぶりを想像させる発見として注目される。

 見つかった骨は、マグロの脊椎(せきつい)の部分(長さ2・5センチ)で、体長は1〜1・5メートルと推定される。縄文時代早期後半〜後期初めごろ(約6500〜4000年前)の地層で出土した。

 この遺跡は、日本海側の敦賀湾まで約45キロ、太平洋側の伊勢湾までは約50キロの距離があり、これらの地域と物々交換で入手していたとみられる。

 泉拓良(たくら)・京都大学大学院教授(先史学)は「マグロは塩漬けにして運んだのだろう。塩分補給の意味もあったのではないか」と話している。

(2005年6月23日21時2分 読売新聞)

大豆は妊娠妨げる?=精子を衰弱させる働き−英専門家【Yahoo!ニュース 6/23】

【ロンドン22日時事】妊娠を計画している女性は、大豆製品を食べるのを控えるべきだ−。22日付の英紙ガーディアンなどは、英専門家がこのほど、デンマークで開かれた出生に関する学会でこのような研究結果を発表したと報じた。大豆に多く含まれるゲニスティンという物質に、妊娠を妨げる働きがあるという。
 発表したのはロンドン大キングズ・カレッジのリン・フレーザー教授。あらかじめ採取した人間の精子とゲニスティンの化合物を使って実験を行ったところ、精子は化合物に接触した途端急激な化学反応を開始した。このことから同教授は、ゲニスティンには卵子に到達しようとする精子の衰弱を早める作用があると結論付けた。 
(時事通信) - 6月22日23時1分更新

2005/06/20

コーヒーの目覚めを解明 睡眠障害治療にも【Yahoo!ニュース 6/20】

 コーヒーや紅茶に含まれるカフェインは、脳の細胞膜上にある特定のタンパク質と結び付いて目覚め作用を起こすことを、大阪バイオサイエンス研究所の裏出良博研究部長らが確認、米科学誌ネイチャー・ニューロサイエンス(電子版)に20日、発表した。
 睡眠障害の治療や、眠気を防ぐ方法の開発につながるのではないかという。
 裏出部長らはマウス実験で、人間のコーヒー1、2、3杯分に相当するカフェインを注射器で投与、睡眠時間を比べた。
 普通のマウスは投与量が増えるにつれ睡眠時間が短くなったが、遺伝子操作でアデノシンA2A受容体というタンパク質を欠損させたマウスは、投与量による変化はなかった。 同様の可能性を指摘されていたアデノシンA1受容体というタンパク質を欠損させたマウスは、普通のマウスと変わりなかった。
(共同通信) - 6月20日2時2分更新

たばこで老化 1日1箱40年で7・4年分【Yahoo!ニュース 6/20】

 【ワシントン19日共同】喫煙者はたばこを吸わない人に比べ、細胞のDNAレベルでも老化が早い−−。ロンドンのセントトーマス病院など英米チームがこんな研究結果を19日までにまとめ、英医学誌ランセットに発表した。
 試算では、1日1箱を40年間吸い続けると、吸わない人に比べ細胞が7・4年分、余計に歳をとることになるという。
 研究対象は18−72歳の女性1100人余り。白血球の核DNAにある「テロメア」と呼ばれる部分に着目した。テロメアは、ひも状になったDNAの両端でほつれを防ぐ「キャップ」役を果たしている。細胞分裂の度に少しずつ短くなり、若者より高齢者の方がこの部分が短いため、老化の一つの目安にもされている。
(共同通信) - 6月20日8時12分更新

2005/06/15

昼夜交代制勤務の男性は前立腺がんリスク3.5倍【夕刊フジBLOG 6/15】

【サラリーマンを襲う病気】
 昼夜交代で働く男性は、昼間働く男性に比べて、3・5倍も前立腺がんになりやすい?。そんな調査結果が、さきごろ学会で発表された。何が体に悪くて、どうすれば改善できるのか。(2005.06.08掲載)

【体のリズム崩れる】
 この調査結果を4月の学会で発表した、産業医科大学臨床疫学教室の久保達彦医師はいう。
 「交代制勤務の男性が前立腺がんになりやすいことを示した研究はこれが世界で初めて。勤務時間がシフトすることによって、生体本来のリズムが乱れ、前立腺がんになりやすくなると考えられます」
 今回の研究は、約11万人を対象に88年から実施されている大規模疫学調査の一環。うち男性労働者約1万6000人(40?79歳)を、日勤と夜勤、交代制勤務の3グループにわけて分析した。
 「これまで交代制勤務者には心筋梗塞など循環器系の病気や胃炎などのほか、乳がんや大腸・直腸がんなどが多いと報告されてきました」
 特に、女性の看護師では勤続年数が長いほど乳がんが増える傾向があるという。
 「乳がんと前立腺がんのどちらも性ホルモンの影響を強く受けるなど共通点が多い。女性の交代制勤務者に乳がんが多いのなら、男性では前立腺がんが多いのではないかと考えた」ことが、今回の発見に結びついた。

【重要なメラトニン】
 なぜ交代制勤務が問題か。
 「私たちのからだには、もともとほぼ1日の規則的なリズムが備わっています。そのリズムは脳の中にある体内時計によってコントロールされており、あらゆる生体機能の調整に影響を及ぼしています」
 ところが交代制勤務で不規則な生活をすると、体内時計が乱れ、生体リズムが狂い、がんなどの障害が起こりやすくなる、というわけだ。
 カギを握るのは、メラトニンというホルモンだ。メラトニンは体内時計から送られる信号によって、脳内の松果体から分泌され、入眠を促す働きがある。
 「メラトニンはふつう夜寝る2時間前くらいから分泌される。それは体内時計でコントロールされているが、メラトニンは逆に体内時計をコントロールもします」
 体内時計が乱れればメラトニンの分泌量が減る。メラトニンが少なくなれば、さらに体内時計が乱れるという悪循環。
 メラトニンの分泌量が少なくなると、前立腺がんになりやすい理由が2つある。
 「メラトニンには前立腺がん細胞の増殖を抑える働きがある。メラトニンの分泌低下が直接、前立腺がん発生に関与している可能性があります」
 もう1つ、メラトニンが少なくなると、体内のホルモン環境が変わり、性ホルモンの分泌が増えるというのだ。
 「性ホルモンの増加が、女性では乳がん、男性では前立腺がんの増加と関連している可能性があります」
 ただし、乳がんと違い、もともと前立腺がんは中高年に多く、交代制勤務者の中でも中高年に多いという。
 「それでも若い世代に無関係ということではなく、若い時から交代制勤務を続けていれば、その無理が蓄積されて中高年になって前立腺がんになりやすいということです」

【まず相談を】
 前立腺がんを避けるためには、交代制勤務をやめるしかないのか。工場や病院、鉄道、ホテルなど24時間操業の職場は多く、しかも交代制勤務だと手当てがつくなど収入面からやめにくいことも否定できない。
 「交代制勤務でもほとんど影響が出ない人や、やがて慣れる人もいるようだ。負担が強いと感じる人は、産業医などに相談し、勤務時間の変更や配置転換などを相談してみては」
 早期発見も重要。久保医師は、「50代以上の交代制勤務者は年1回、前立腺がんの診断に有効なPSA(前立腺特異抗原)検査を受けるようにしてください」と呼びかける。
 体内時計の乱れを少なくするには、できるだけ決まった時間に太陽の光を浴びること。起床時にライトが少しずつ明るくなる目覚まし時計などを使う。
 朝食で血糖値が上がれば、1日のリズムが作りやすくなる。

2005/06/07

がん予防へ8項目 国立がんセンター指針【産経新聞 6/6】

塩分は10グラム未満 野菜1日400グラム 毎日60分の歩行

 日本人のがん予防に役立つ八項目の指針を、国立がんセンターがん予防・検診研究センターの津金昌一郎予防研究部長らがまとめた。同様のものとしては「がんを防ぐための十二カ条」(同センター監修)が有名だが、今回は数値を盛り込むなど、より具体的に生活習慣改善を指導しているのが特徴だ。

 指針はまず、禁煙を「がんになる確率を三分の二に減らせる。最も確実ながん予防法」として推奨。吸わない人には、他人の煙を吸い込む受動喫煙の危険性を警告した。飲酒は「適度」で、具体的には「日本酒換算で一日一合(ビールで大瓶一本)以内」とした。

 食事では、野菜・果物を一日に少なくとも四百グラム取るようにする。胃がんのリスクとなる可能性が高い塩分の摂取は一日十グラム未満にして、熱い飲食物も最小限にするよう求めた。

 また、毎日合計六十分程度の歩行など適度な運動と、週に一回程度は汗をかく激しい運動が必要で、成人期での体重を維持する。肝臓がんの予防としては、B型やC型の肝炎ウイルスの感染に注意し、感染者は治療することが重要とした。

 これらの予防法を実践する上の注意点は、特定の栄養素をとりすぎると逆に体に悪影響を与える可能性があること。特に栄養補助剤(サプリメント)の服用は注意が必要としている。

 米ハーバード大の一九九六年の推計によると、米国人のがん死亡者の発症原因は、食事とたばこが、ともに30%で最多。運動不足(5%)、飲酒(3%)と合わせ、生活習慣が68%に上った。

 今回の指針は、さまざまな予防法の有効性を評価した世界保健機関(WHO)の二〇〇三年食事指針などを基に作成しており、「信頼性が高く、日本人がこれだけは守った方が良いと考えられる予防法をまとめた」(津金部長)という。

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