2004/10/21

活性酸素が多いと貧血に 慶応大グループが解明

 体内の活性酸素の濃度が高くなると、赤血球などの血液細胞が減り、貧血を起こしやすくなる危険があることを、慶応大医学部の平尾敦助手らのグループが突き止め、21日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
 グループは活性酸素濃度の調節遺伝子も特定。平尾助手は「貧血は老化現象の一つ。うまくコントロールできれば、老化防止につながる可能性もある」としている。
 赤血球や白血球、血小板などの血液細胞は、もとになる造血幹細胞が分裂して2つに分かれ、その片方が分化してできる。もう一方は幹細胞のまま残り、その後も必要に応じて分裂を繰り返し、血液細胞を供給する。
 活性酸素は、この幹細胞の自己複製機能を低下させ、分裂した幹細胞をすべて血液細胞にしてしまうと分かった。いったん血液細胞になると、別の血液細胞になったり、分裂して増えたりできないため、結果的に、新たな血液細胞の供給が減ってしまう。
(共同通信) - 10月21日2時7分更新

2004/10/17

がん放射線治療の精度向上 中枢神経近くも可能 放医研開発

 がん細胞を放射線で除去する放射線治療の際、照射停止の速度を大幅に短縮した世界最速の「高速ビーム遮断法」を文部科学省所管の独立行政法人、放射線医学総合研究所(千葉市)が開発した。照射の停止操作をしてから実際に停止されるまでの時差が解消されるため、正常組織を損なわずに悪性腫瘍(しゆよう)だけをより正確に狙い撃ちすることが可能になり、これまで照射を見合わせていた中枢神経近くの腫瘍にも適用できる見通しという。臨床実験などを通じて数年内の実用化を目指している。

 同研究所では平成6年から、シンクロトロンと呼ばれる円形の加速器を使って炭素線(放射線)を光速の約70%に加速した後、腫瘍に照射する治療を行ってきた。

 しかし、肺がんや肝臓がんの治療では、照射部位が患者の呼吸によって動くため炭素線を止めても現実の停止位置に誤差が生じ、わずかではあるが、正常細胞にまで照射し死滅させてしまう欠点があった。また、中枢神経近くにできた脊索腫や脳腫瘍については、周囲の組織を傷つける恐れがあるため、放射線治療を見送るケースが少なくなかった。

 今回の新手法は、同研究所重粒子医科学センターの山田聰・加速器物理工学部長らのグループが開発。炭素線の取り出しに使われる高周波電場と炭素線の加速・減速に使われる高周波電場を同時に停止することで、炭素線の停止開始から実際に止まるまでの時間を従来の約20分の1にあたる100万分の50秒にまで短縮した。

 「感覚的には手術に使うメスをレーザーメスに代えるぐらい飛躍的に精度が向上する。より精密な線量のコントロールによって、これまで足踏みしていた中枢神経近くの腫瘍には特に有効だ」(野田耕司・主任研究員)という。

 国内のがん治療は現在、放射線治療と抗がん剤投与、外科手術による摘出の三つに大別されるが、いずれも副作用や技術面で問題をかかえ、決定的な治療法は確立されていない。今回の高速ビーム遮断法は放射線がん治療分野で、世界的にも注目されている。

(産経新聞 10/17 10:24)

2004/10/05

リンゴのポリフェノール、筋力増強や脂肪減少の効果

 アサヒビールと日本体育大学大学院の中島寛之教授らの共同研究で、リンゴから抽出されるリンゴポリフェノールに、筋力を増し、内臓の脂肪を減らす働きがあることが明らかになった。

 赤ワインや黒豆などに含まれるポリフェノールは老化やがんの要因とされる活性酸素を除去する働きが知られているが、筋力増強や脂肪減少などの効果が明らかになったのは初めてという。

 アサヒは、年内にも人を対象とした実験で効果を確かめ、早ければ2005年にもサプリメントや飲料などでの商品化を目指す。

 リンゴのポリフェノールは果肉にもあるが、特に皮の部分に多く含まれているという。アサヒと中島教授らは、リンゴポリフェノールを5%混ぜた固形エサを3週間与えたマウスと、普通の固形エサを与えたマウスを比較した。その結果、ポリフェノール入りを食べたマウスは、普通のエサのマウスより筋力が16%高く、内臓脂肪は27%少なかったという。

 アサヒは、ポリフェノールに内臓脂肪の分解を助ける働きがあるとしているが、筋力アップのメカニズムは、よく分かっておらず、今後の研究課題という。

 アサヒは「筋力アップや体脂肪率抑制が必要な運動選手に効果が期待できる」としている。

(2004/10/4/03:30 読売新聞 無断転載禁止)

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