2005/07/29

【骨代謝学会速報】タマネギに含まれるケルセチンの投与で骨密度の減少を抑制、動物実験による結果【MedWave 7/28】

 フラボノイドの一種でタマネギに多く含まれるケルセチンを骨粗鬆症モデルマウスに投与したところ、4週間後、骨密度の減少が有意に抑制したことを、徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部の辻光義氏らが、「フラボノイド化合物ケルセチンの骨粗鬆症予防効果とその作用機構」と題したポスター演題の中で発表した。

 ケルセチンには、ガンや動脈硬化などの原因である活性酸素を抑える抗酸化作用と、花粉症やアレルギー性皮膚炎に対する抗炎症作用があることが報告されているが、骨量への影響に関してはまだはっきりしていない。

 この研究では、卵巣を摘出した骨粗鬆症モデルマウスを作成し、対照群には偽手術を行った。術後3群に分け、非投与群と対照群にはコントロール食を、他の2群にはそれぞれケルセチン0.25%および2.5%を添加した食餌を与えた。

 投与4週間後、第3腰椎の骨密度を測定したところ、ケルセチン2.5%群では非投与群に比べて有意に骨密度の減少が抑えられており、対照群とほぼ同じ程度の骨密度になっていた。一方、血清カルシウムやリンの濃度および子宮の重量には変化がなかった。

 またケルセチンは植物エストロゲンとしての作用をもつとの報告があるため、辻氏らはin vitroでエストロゲン受容体(ERα、β)に対する活性を調べた。その結果、大豆由来の植物エストロゲンであるイソフラボン(ゲニステインとダイゼイン)はエストロゲン受容体に作用して活性が見られたが、ケルセチンでは活性は示さなかった。

 このことから辻氏らは、タマネギやホウレンソウ、パセリなど、ケルセチンを含有する野菜を積極的に摂取することが、骨粗鬆症予防に有効」であり、「イソフラボンとは異なる経路で生体に作用すると結論づけている。(八倉巻尚子、医療ライター)

2005/07/26

東大、“黒字”53億円 法人化後初の04年度決算【Yahoo!ニュース 7/26】

 東大は26日、経常利益が約53億円に上ったとする2004年度決算を公表した。決算は昨年4月の法人化後初めて。予算通りにお金を使うだけの法人化前と変わり、企業会計にならった公表になった。
 東大は「法人化で財政運営がより弾力化できるようになった。経常利益が出たことで年度をまたいだ事業にも支出できる」としている。
 決算によると、収入は、運営費交付金861億円や病院収入300億円のほか、授業料や入学金など計1771億円あった。経費は人件費が791億円で最も多かった。
 経常利益が出たのは、物品調達の効率化による経費削減で、運営費交付金の一部を浮かせることができたため。このほか経営する家畜病院の収益アップもあった。
(共同通信) - 7月26日21時53分更新

老化に活性酸素関与せず 日米チーム、従来の説否定【Yahoo!ニュース 7/15】

 老化の有力な原因の一つとされてきた「活性酸素」が、実は老化に関与していなかったとの研究結果を、東大食品工学研究室の染谷慎一(そめや・しんいち)特任教員らと米ウィスコンシン大、フロリダ大のチームがまとめた。チームはさらに、細胞内小器官「ミトコンドリア」にあるDNAの損傷蓄積が老化の一因となるメカニズムを解明。15日付の米科学誌サイエンスに発表した。
 活性酸素は、体を酸化させ、遺伝子や細胞膜を傷付ける有害物質とされる。従来、活性酸素がミトコンドリアを攻撃して老化を促すと考えられていた。その働きを抑える抗酸化効果をうたった健康補助食品などが市場をにぎわせている。
 染谷特任教員は「マウスを使った実験で、活性酸素がミトコンドリアに障害を与えているとの見方が否定された。新たなメカニズム解明は、老化の抑制方法開発につながる」と話している。
(共同通信) - 7月15日3時4分更新

2005/07/12

ウコンが皮膚がん治療に効果=米研究チーム【Yahoo!ニュース 7/12】

 [ワシントン 11日 ロイター] 米研究チームは11日、カレーの黄色成分が皮膚がん治療に役立つ可能性があるとの報告を発表した。
 米研究チームの報告によると、ウコン(ターメリック)に含まれるクルクミンがメラノーマ細胞に作用することが分かった。実験によると、クルクミンにより、皮膚がんの一種であるメラノーマが、細胞死(アポトーシス)として知られる過程で自滅する確率が高くなった、という。
 また同チームは、クルクミンが乳がん細胞の肺への転移を防ぐ働きを持つことも突き止めたとしている。
(ロイター) - 7月12日21時34分更新

2005/07/08

1日に6〜7杯のコーヒーで2型糖尿病リスクが3分の2に、メタ分析で明らかに【MedWave 7/8】

 最近、コーヒーが健康に好影響を与えるとする研究結果が相次いで発表され、注目を集めている。オランダAmsterdam自由大学のRob M. van Dam氏らは、コーヒー摂取と2型糖尿病リスクの関係を調べる系統的レビューを行い、1日にドリップ式コーヒー6〜7杯でリスクが35%減少することを示した。詳細はJournal of American Medical Association(JAMA)誌2005年6月6日号に報告された。

 コーヒーには、グルコース代謝との関係が明らかになっている成分が複数含まれている。コーヒー摂取が2型糖尿病リスク低下をもたらすという報告も増えていた。そこで著者たちは、15件の疫学研究の系統的レビューを試みた。

 研究グループはコホート試験9件を選出した。対象者は19万3473人、うち2型糖尿病患者は8394人。相対リスク(RR)のまとめ値RRsをランダム効果モデルを使って計算したところ、1日0〜2杯の人々に比べ、6〜7杯以上コーヒーを飲むグループの2型糖尿病のRRsは0.65(95%信頼区間0.54-0.78)、4〜6杯では0.72(0.62-0.83)となった。この関係は、性別、肥満度、居住地域の影響を受けなかった。

 横断的試験7件の対象者は1万7438人。2型糖尿病との関係を調べた論文のオッズ比のまとめ値(ORs)は、0〜2杯の人に比べ1日5杯以上で0.48(0.28-082)、3〜4杯で0.60(0.42-0.85)となった。耐糖能異常のORsもそれぞれ0.54(0.42-0.68)と0.61(0.51-0.72)だった。

 北欧、南欧、日本で行われたこれらの研究は、コーヒー摂取量が多いと、高血糖症、特に食後の高血糖が起こりにくいことを一貫して示した。が、朝食前の血糖値との間には関係は見られていない。コーヒー摂取量が多いほど、インスリン感受性が高いと報告している研究も複数あった。

 コーヒーの入れ方は、主にドリップ式とボイル式に分けられる。メタ分析の対象となった研究によると、ボイル式が一般的な国でも糖尿病リスク低減が認められている。しかし、フィンランドにおける比較試験では、ドリップ式の方が効果が高いと報告していた。しかし全体では、ボイル式コーヒーの摂取量を調べた研究は少なかった。また、調査対象の中にインスタント・コーヒー摂取者は少なかった。したがって、今回のメタ分析で得られた結果は、ドリップ式コーヒーに関するものといえる。

 通常のコーヒーとカフェイン・フリー・コーヒーの効果の差も気になるが、欧州での研究はこれらを区別していない。しかし、カフェイン・フリーは一般的でないだけに、結果は普通のコーヒーを反映していると考えられる。なお、米国で行われた2件のコホート研究は、それらの作用を比較していた。統計学的有意性は示せなかったが、通常のコーヒーと同様、カフェイン・フリー・コーヒーにも、摂取量が多いとリスクが減少する傾向が見られた。

 なお、米国のコーヒー1杯の量は250mL、欧州では125〜150mL と大きく異なるが、米国のコーヒーは薄く、欧州のものは濃いことから、今回は補正が加えられていない。

 著者たちは、なぜ糖尿病リスクが下がるのかについて考察している。In vitroでは、コーヒーの抗酸化作用が証明されている。また、コーヒーに含まれるクロロゲン酸の血糖値低減効果がラットで示されている。さらに、その分解産物であるキニドはラットのインスリン感受性を高める。クロロゲン酸は、コーヒーの抗酸化作用を担うとともに、金属キレート剤としての作用も持つ上、小腸でのグルコース吸収を競合的に阻害する。こうした作用が、食後の血糖値上昇を防いでいる可能性がある。また、マグネシウムの含有量が高いことがインスリン感受性とインスリン分泌によい影響を与えるとも考えられるという。

 著者たちは、2型糖尿病の予防にコーヒーの日常的な摂取を推奨するには時機尚早という。が、今後、長期的な介入試験でその作用機序や、より有効な飲み方が明らかになれば、予防的摂取も現実的になると考えている。

 本論文の原題は「Coffee Consumption and Risk of Type 2 Diabetes」、概要は、こちらで閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)

2005/07/06

明治製菓、カシスポリフェノール入り健康飲料を8月末に発売【MedWave 7/6】

 明治製菓は7月4日、カシスポリフェノール入り健康飲料「カシス-i」を8月29日に全国発売すると発表した。内容量は100mLでメーカー希望小売価格は250円(税込み)。リキュールやジャムの原料として知られている「カシス(黒すぐり)」の濃縮果汁を豊富に含んでいるのが特徴だ。

 濃縮果汁の有効成分の一つが「カシスポリフェノール」。体内の酸化を防ぐ抗酸化作用があり、指先など末梢の血液循環を改善する働きもある。このカシスポリフェノールは、1本当たり130mg含まれているという。

 なお、このポリフェノール類の一つ、「カシスアントシアニン」には、一時的な仮性近視の予防効果が期待されている。これは、弱い近視である21人(平均年齢20.9歳)を対象にした明治製菓の研究で示された。

 この研究は、21人にカシスアントシアニン50mgを含む飲料かアントシアニンを含まないプラセボ飲料を飲んでもらった後、2時間パソコンを使った作業を行ってもらい、作業の前後で目の屈折度数を比較した。カシスを含む飲料群では屈折値の低下はみられなかったが、プラセボ群では明らかな低下がみられ、双方の変動値を比べると、有意な差が認められた(p=0.006)。

 このほか、目の疲れの軽減作用や、血流のうっ滞によるくまの改善効果があることも報告されている。

 明治製菓では既に、カシスアントシアニンを3粒に50mg含む栄養機能食品を販売しているが、今後も食品分野で、カシスを使用した製品を開発していく予定だとしている。

 「カシス-i」のプレスリリースはこちらまで。(小又理恵子)

2005/07/04

35年後の50代は今の40代、米チームが分析【読売新聞 7/4】

 【ワシントン=笹沢教一】平均寿命が延びていることなどから、35年後の日本の50歳代は「現在の40歳代と同年齢」とみなせることが、米ニューヨーク州立大などの研究でわかった。

 研究チームは、1960年代以降の日本、米国、ドイツの平均寿命と年齢構成の変化をもとに、今世紀末までの年齢構成を予測。各年の年齢層の余命が、2000年時点の何歳の余命に相当するか計算したところ、日本の場合、2040年の55歳は、2000年の45歳の余命に相当し、両者は「ほぼ同年齢」と見なせることがわかった。

 勤労者が退職者を支える比率を計算し直すと、日米独とも2040〜60年ごろに緩いピークを迎えるものの、約20〜40%台で横ばいとなった。65歳以上を一律高齢者と見なした従来の計算では、今世紀末まで右肩上がりに数字が増えるという悲観的な結果だった。

 研究チームは「高齢化に伴ってリタイアの年齢も上がるので、実年齢よりも余命に目を向けるべきだ」と話している。

(2005年7月4日14時33分 読売新聞)

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