2005/04/25

コエンザイムQ10のとりすぎ要注意【夕刊フジBLOG 4/22】

【サラリーマンを襲う病気】
 「老化防止」への効果が期待できるとして、お昼のテレビ番組から火がついた「コエンザイムQ10(略称 コー・キュー・テン)」。今、中高年に爆発的な人気を誇る栄養補助食品(サプリメント)だが、「取りすぎは、逆に健康に悪影響を及ぼす可能性がある」という注目すべき指摘がある。何がよくて、何が危険なのか。(2005.04.15掲載)

■エネルギーを補助
 まずコエンザイムQ10には、どんな作用があるのか。久留米大医学部の松岡秀洋助教授(以下同)が説明する。
 「コエンザイムQ10は、細胞のエネルギーを作り出す、ミトコンドリアという部分に多く存在しています。おもな仕事はエネルギー産生の補助で、これがなくなると、エネルギーも産生されなくなるのです」
 エネルギーを作るために必要な物質なので、コエンザイムQ10は体内で作られる。ところが、その生産量が加齢ともに低下するとされ、特に40代を過ぎるころからガクンと落ちるといわれる。そのため、「サプリメントでコエンザイムQ10を補うことで、疲れにくくなったり、エネルギー生産が活性化して老化防止につながると人気が出たわけです」。
 コエンザイムQ10は、心臓や腎臓、肝臓などよく働く臓器に多いという特徴があり、内臓の健康を守るためにも、必要だという。さらに、抗酸化作用についても広く宣伝されている。
 抗酸化作用というのは、おなじみのビタミンCやビタミンEが、体を活性酸素の攻撃から守り、老化防止に役立つという働き。コエンザイムQ10にも似たような作用があり、しかも、ビタミンCやE以上の抗酸化作用があるといわれている。
 ただし、いいことずくめでは、ない。

■動脈効果との関連
 松岡助教授らは、健康な男女114人を対象に、動脈硬化とコエンザイムQ10の関係を調べたところ、動脈硬化が進んでいる人ほど、血液中のコエンザイムQ10濃度が高い、という驚くべき結果が出たという。
 「今まではコエンザイムQ10の不足が、病気を促進するといわれていたのですが、実際は不足している人はいず、逆に病気の人ほど増えていたのです」
 この研究は、評価の高い高得点演題として米国心臓学会で発表され、医学専門誌『メディカル・トリビューン誌』にも取り上げられている。
 動脈硬化だけでなく、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を患う人にも、血中のコエンザイムQ10濃度は健康な人よりも高いという結果が出たという。
 加齢とともに不足するという宣伝文句にすぐに飛びつくことには「注意が必要」として、松岡助教授は次のように警鐘を鳴らしている。
 「そもそもコエンザイムQ10は、心臓病の薬として開発されたものですが、健康補助食品に転用されました。厚労省の認可した安全基準は1日30mgまで。ところが、現在のサプリメント業界では、60?100mgほどの摂取を勧めています」
 認可当時の安全基準に照らしても、現在のブームは明らかに過剰摂取の危険があるのだ。
 しかも、過剰な健康志向の高まりから、もっと多く取ればいいと勘違いして、100mgよりも多く取る人もいる。
 「ビタミンEなどもそうですが、サプリメント過剰摂取の害が次第に明らかになっています。コエンザイムQ10に関しては効果についても副作用についても多数例できちんとなされた研究は極めて少ない」
 慌てて飛びつかず、本当に必要かどうかも含めて、じっくり様子を見ながら慎重に対処することが大事だという。
 「何よりも健康で長生きするためには、いたずらにサプリメントに頼ることなく、バランスの取れた食事や適度な運動、禁煙・節酒など、基本的な生活習慣の見直しが最も大切なのです」と松岡助教授は注意を呼びかけている。
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■食品にも含まれているコエンザイムQ10
 コエンザイムQ10はサプリメントでなくとも、食べ物から自然な形で補うことができる。脂に溶ける脂溶性の物質のため、食品ではイワシやサバなど、青背の魚に含有量は多い。
 また、牛肉、豚肉などにも含まれ、レバーやハツ(心臓)などにも多く含まれる。もつ焼きはまさにスタミナ源なのだ。
 また、ブロッコリー、ホウレンソウ、大豆、ピーナツなどにも含まれている。
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■「協会」は反論
 「過剰摂取は有害の恐れ」があるとする松岡助教授の研究発表が先月一部で報じられると、にわかに波紋が広がり、日本コエンザイムQ10協会理事長の山本順寛・東京工科大バイオニクス学部教授は、同協会の公式ホームページ(http://www.coenzymq-jp)で真っ向から反論するコメントを掲載した。
 <「動脈硬化が進んでいる人ほど、血中のコエンザイムQ10濃度が高い」という研究結果と標記の意見には大きな飛躍がある>などと事実誤認を主張。
 <動脈硬化の重要な原因にリポたんぱく質の酸化があるが、コエンザイムQ10はビタミンEと協同して、リポたんぱく質の酸化を抑制するので、逆に動脈硬化の抑制因子であることが期待できる>などとした上で、<1974年以来長年用いられてきているが、深刻な副作用の報告はない?と消費者に呼びかけている。

2005/04/14

にんにく:大腸ポリープの成長を抑制 広島大助教授ら発表【毎日新聞 4/14】

 にんにくに含まれる成分に、大腸にできたポリープの成長を抑える効果のあることが、広島大の田中信治助教授(分子病態制御内科学)らの研究で分かった。大腸ポリープは直径1センチを超すとがんに移行する場合があり、にんにくが、がん抑制に結びつく可能性があるという。米国で開かれた国際にんにくシンポジウムで発表された。

 大腸ポリープは通常、1センチ以上になると切除するが、1センチ未満の場合には経過を観察することが多い。研究は内視鏡検査で大腸にポリープが見つかり、経過観察中の12人の同意を得て実施。にんにくを油の中で2年間熟成させて抽出したエキスを、1日当たり2.4ミリリットル飲む8人(A群)と、0.16ミリリットル飲む4人(B群)に分けた。

 1年後に比べると、A群では5人でポリープの数が減り、直径の平均値も1ミリ以上減った。B群では数が減った人はなく、直径の平均値も何もせず経過観察だけの人と同レベルの3ミリ以上増えていた。いずれも統計的に有意な差があった。

 にんにくには、抗がん作用を持つたんぱく質が含まれていることが知られている。田中助教授は「熟成中に有用成分ができるので、にんにくをそのまま食べるより効果は高くなるが、にんにくがおおむね大腸がんの抑制に効果があることが示された」と話している。【山本建】
毎日新聞 2005年4月14日 10時48分

論文だけで博士、駄目 大学院重視で一致、中教審部会【Yahoo!ニュース 4/14】

 中央教育審議会の大学院部会は14日までに、企業や公的な研究所で業績を挙げた社会人が、論文などの審査を基に博士の学位を得る「論文博士」制度を廃止し、大学院のカリキュラム修了者を対象に与える「課程博士」制度に一本化する方向で一致した。
 論文博士については「学位のため研究を狭い分野に限定してしまう恐れがある」「日本独自の制度で国際的な通用性に欠ける」などの批判があった。
 文部科学省は論文博士を認めている省令を改正、博士号取得を目指す社会人に対しては大学院に短期間在学する「博士課程短期在学コース」の創設なども検討している。
 文科省によると、論文博士は、2001年度の調査で博士号の授与数のうち36%を占めており、大学院を辞めた人が社会人になってから博士の学位を取る手段になっていた。
 しかし、同部会は、大学院改革の一環として、学位の国際的信頼性を確保し高めるため、制度見直しを検討。
(共同通信) - 4月14日6時8分更新

2005/04/08

天声人語【朝日新聞 4/8】

 東京では、2日続けて初夏を思わせる陽気となった。咲いたばかりと思っていた桜が、場所によっては散り始めた。

 昨日都心の公園では、時折強く吹き抜ける春風に乗って花びらが高く舞っていた。周囲の常緑樹の枝を離れた春落ち葉と絡み合う。それも興趣だが、風よ、せめて2日ほど吹かずにおれないかという思いもした。

 『源氏物語』に、風に散る花を惜しみつつ姫君や女房が歌を詠むくだりがある。「桜ゆゑ風に心のさわぐかな思ひぐまなき花と見る見る」。桜ゆえに風が吹くたびごとに心も落ち着かない、思うかいのない桜とは知りながら(『新日本古典文学大系』)。

 桜の花は、過ぎ去った人々の姿や思いを、後世の人々がしのぶよすがでもある。「手折り来し花の色香はうすくともあはれみたまへ心ばかりは」。この良寛の歌は、西行法師の墓前で詠まれた。西行の作「仏には桜の花をたてまつれわが後の世を人とぶらはば」に応じたという(宮柊二「良寛の人と歌」)。

 〈さまざまのこと思ひ出す桜かな 芭蕉〉。桜のタイムカプセルのような作用は、人が自らの生を振り返るのを促す。1年前や、そのまた1年前のことを桜が思い起こさせる。以前にはあって、今は無くなったものや人を思う。あるいは、前には無くて今あるものや人を見やる。

 桜前線は、来週には新潟辺りに達するという。地震では多くのものや人が失われた。今年の桜は、つらい思いを誘うかもしれない。しかし、そういう年こそ、律義に花開く桜の姿が、人々の力を呼び起こすようにと念じたい。

2005/04/03

『日本の伝統食は胃がんになりやすい』は本当だった【夕刊フジBLOG 4/1】

【サラリーマンを襲う病気】
 日本の伝統型食生活は胃がんになりやすいことが、厚生労働省研究班による、10年間の追跡調査で分かった。「健康型」の食生活に改善するには、どうすればいいか。(2005.03.22掲載)


■徹底調査
 厚労省研究班主任研究者で、国立がんセンターがん予防・検診研究センター予防研究部長の津金昌一郎氏(以下同)が、現状を語る。
 「これまでの調査では、『塩分摂取がおそらく胃がんに関係する』としかわからなかった。それが今回、高塩分食品との関連が強い伝統型食生活パターンの場合、その度合いが強いほど胃がんのリスクが高まることがはっきりとわかりました」
 これまでがん関連の研究は、単独の食品・栄養素についてリスクを比較することが多かった。しかし、食事の際、体内ではさまざまな栄養素間に相互作用が起こり、それぞれの栄養素の働きが強まったり、打ち消されたりしている。
 「それならふだんよく食べる、逆にあまり食べない食事内容をそれぞれ調べ、その傾向を整理すれば、食生活パターンが見えてくると考えた」
 そこで、胃がん発生率がもっとも高い秋田県横手、もっとも低い沖縄県石川など4地域に住む40?59歳の男女約4万人を、90年から10年間追跡したデータを活用。「伝統型」「健康型」「欧米型」の3つの主な食生活パターンを導き出した。
■伝統型の男性はリスク3倍
 追跡期間に男性285人、女性115人が胃がんになった。その男女を3つの食生活パターンにわけた上、さらにそれぞれのパターンの度合いの「低い」から「高い」まで4段階のグループにわけた。
 その結果、まず「伝統型」は米や魚介類、日本酒の他、特に塩辛や練りウニ、数の子や筋子などの塩蔵魚卵、漬物、魚干物、みそ汁など高塩分食品との関連が強い。しかも、その高塩分食品の摂取頻度が高く、「伝統型」の度合いが強いほど、胃がんになるリスクは高かった。
 「特に『伝統型』男性の場合、その度合いがもっとも強いグループで胃がんになるリスクは、もっとも弱いグループの3倍強あった」
 女性も同様に2.4倍あった。
■野菜と果物も重要
 さまざまな野菜や果物、海草、ヨーグルト、キノコ、大豆製品、牛乳、卵との関連が強いのが、「健康型」食生活パターンだ。「健康型」女性の場合、その度合いがもっとも低いグループにくらべて、他の3グループで胃がんのリスクが低くなった。
 ところが同男性では、その度合いが高くても低くても、胃がんリスクは変わらなかった。
『健康型』女性は野菜と果物をたくさん食べ、胃がんリスクを下げるビタミンCやカロチノイドの摂取量が多かったためのようだ。
 「片や、『健康型』男性は胃がんリスクを上げる喫煙の割合が多く、漬物と魚干物がやや多めなどの影響が考えられる」
 一方、牛肉や豚肉、鶏肉、パン、チーズ、マヨネーズなどとの関連が強い「欧米型」の場合、男女とも、胃がんリスクとの関連はなかった。
 前立腺がんや大腸がんなどが増える中で胃がんは影が薄く、つい軽視しがちだ。
 「確かに胃がんの死亡順位は下がっているが、発生率では依然、トップ。特にヘリコバクターピロリ菌は胃がんの確実なリスク要因であり、高塩分食品の摂取頻度が高い人ほどその感染率が高い。油断は禁物です」と、津金氏は警告する。
 米や魚介類、日本酒はいいが、塩辛や漬物などは控えめにし、野菜と果物をたっぷりとりたい。

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