2005/05/09

“常識”覆す?野菜や果物摂取は大腸がん予防にならず【読売新聞 5/9】

 野菜や果物をたくさん食べても大腸がんの予防にはつながらないことが、厚生労働省研究班の坪野吉孝・東北大教授(疫学)らによる男女約9万人の追跡調査で明らかになった。

 日本では近年大腸がんが急増。大腸がん予防には野菜の摂取が重要と言われていたが、この“常識”を覆す内容だ。成果は9日付の英国のがん専門誌に掲載された。

 調査は1990年以来、全国の40〜69歳の男女約9万人を対象に食事や喫煙などの生活習慣に関するアンケートを実施し、約10年間追跡した。この間、705人が大腸がんになった。

 研究では9万人を野菜や果物の摂取量別にそれぞれ4グループにわけ、大腸がんの発生率と比較した。その結果、野菜でも果物でも、最もよく食べるグループと最も少ないグループとの間で、大腸がんの発生率に差はなかった。大腸がんを結腸がんと直腸がんに分けて調べても差はなかった。

 同研究班はこれまで、胃がんについては、野菜・果物の予防効果を確認しており、野菜や果物の摂取が奨励すべき生活習慣であることに変わりはないという。

(2005/5/9/19:31 読売新聞 無断転載禁止)

2005/05/06

紫外線で傷ついた遺伝子、修復のメカニズムを解明【読売新聞 5/6】

 紫外線による遺伝子の損傷を、2種類のたんぱく質が協力して探し出し、修復に結びつけるメカニズムを、理化学研究所などの研究チームが解明した。

 皮膚ガンの予防薬開発などにつながる成果で、6日付の米科学誌「セル」に発表した。

 日光に当たると、紫外線で遺伝子を構成するDNAの一部が傷つく。皮膚の細胞にはDNAの傷を元通りに修復する機能があるが、修復しきれないと皮膚がんにつながる。

 研究チームは、修復機能に関係している遺伝子が作る2つのたんぱく質について調べた。その結果、まず傷の探知能力が高い第1のたんぱく質が傷に取り付き、その後、第2のたんぱく質を呼び寄せる役割を果たしていることがわかった。

 第2のたんぱく質が到着すると、第1のたんぱく質は席を譲り、第2のたんぱく質が修復役のたんぱく質を呼んで実際の修復作業が始まる。こうした仕組みを利用すれば、皮膚ガンの予防作用がある日焼け止めクリームなどが開発できる可能性があるという。

(2005/5/6/10:51 読売新聞 無断転載禁止)

2005/05/02

交代勤務、がん3・5倍に 大規模疫学研究で判明【Exciteニュース 5/2】

 24時間操業の工場や鉄道、ホテルなどの交代制職場で働く男性は、主に昼間働く日勤職場の男性に比べ、前立腺がんになる危険性が3・5倍、心筋梗塞(こうそく)などの虚血性心疾患で死亡する危険性が2・8倍高いことが、文部科学省が補助する大規模疫学研究(運営委員長・玉腰暁子名古屋大助教授)の分析で2日までに分かった。
 不規則な勤務による体内時計の乱れが関与していると考えられ、虚血性心疾患は血圧上昇やストレスも原因とみられる。
 厚生労働省の調査では、午後10時以降の深夜業に従事する労働者がいる事業所は2割に上り、うち半数が交代勤務を導入。研究者らは「前立腺がん検診の導入や、循環器病の危険因子を持っている人の適正配置など、労働管理の在り方を考えるべきだ」と話している。 [ 05月02日 08時28分 ]共同通信

2005/05/01

科学常識このぐらいは——目安作り、文科省乗り出す【読売新聞 5/1】

 日本の大人には最低これぐらいの科学常識が必要——文部科学省が、そんな「目安」作りに乗り出す。子供の理科離れが問題になっているが、同省は「大人も科学を勉強していない」と指摘、科学者や教育関係者が今後、数年かけて検討し、望ましい「基礎的素養」を示すことになりそうだ。

 1999〜2001年にかけて、世界17か国の学術機関などが連携して、18歳以上を対象に、「ごく初期の人類は恐竜と同時代に生きていた」など科学分野の11問について正誤を尋ねた。日本の正答率は54%で13位。1位スウェーデンの73%、5位アメリカの63%などに比べ「常識の無さ」が目立っている。

 そこで同省は、4月にまとめた報告書「第3期科学技術基本計画(2006〜2010年度)の重要政策」の中に、「日本の成人が身につけるべき科学技術リテラシー像(科学・数学・技術に関係した知識・技術・物の見方を具体化、文書化したもの)を策定する」との方針を明記した。

 アメリカでは、学力や産業競争力の低下に危機感を抱いた学会や教育団体が1989年、標準的な科学知識をまとめて出版した。日本もこうした前例を参考にすることになりそうだ。

 同省は「現代社会で必要な科学常識について一定の合意があれば、学校教育や生涯教育の指針になる」(基盤政策課)としている。

 【科学常識チェック、〇か×か】(国際比較の共通質問から)

 〈1〉地球の中心部は非常に高温

 〈2〉すべての放射能は人工的に作られた

 〈3〉我々が呼吸に使う酸素は植物から作られた

 〈4〉赤ちゃんが男の子になるか女の子になるかを決めるのは父親の遺伝子

 〈5〉レーザーは音波を集中することで得られる

 〈6〉電子の大きさは原子よりも小さい

 〈7〉抗生物質はバクテリア同様ウイルスも殺す

 〈8〉大陸は何万年もかけて移動しており、これからも移動するだろう

 〈9〉現在の人類は、原始的な動物種から進化した

 〈10〉ごく初期の人類は、恐竜と同時代に生きていた

 〈11〉放射能に汚染された牛乳は沸騰させれば安全

          ◇

 ▼常識チェックの答え

 〈1〉○〈2〉×〈3〉○〈4〉○〈5〉×〈6〉○

 〈7〉×〈8〉○〈9〉○〈10〉×〈11〉×

(2005/5/1/03:03 読売新聞 無断転載禁止)

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